「出産後、久しぶりに夫と行為をする機会があったけど痛くてできなかった」
「膣の乾燥が性交痛の原因ではないだろうか」
「自分はまだ20代なのになぜ膣が乾燥するのだろう」
このような悩みはありませんでしょうか。20代でも膣の乾燥はみられ、性交痛の原因になることがあります。
本記事では、20代で膣が乾燥する原因やその改善方法を解説します。
1. 膣の乾燥は女性ホルモンが影響している
多くの場合、膣が乾燥することで性交痛を引き起こします。
膣の乾燥は閉経前や閉経後にあたる「更年期」にみられることが多いですが、20代でも膣が乾燥することはあります。
膣の乾燥は、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量低下が主な原因です。エストロゲンは膣のうるおいや弾力性を保つ作用があるため、エストロゲンの分泌量が低下すると膣が乾燥します。
2. 20代で膣が乾燥する5つの原因
膣が乾燥するのは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量低下が原因であることが分かりました。
次に、20代でエストロゲンの分泌量が減少する要因を5つに分けて解説します。
出産および授乳
出産直後は、母乳の生産を維持するプロラクチンというホルモンが放出され、反対にエストロゲンレベルが急激に低下します。出産後、数ヶ月でエストロゲンの分泌量は元に戻ります。
しかし母乳育児の場合は、エストロゲンの分泌量が低下した状態が長くなるのです。エストロゲンの減少は、膣の乾燥を招くだけではありません。
膣のうるおいを保つには十分な性的興奮が必要です。しかしエストロゲンの減少は、性欲を減退させるため性的興奮を感じにくくなり、膣の乾燥がさらに増します。
喫煙
たばこは、がんや肺疾患のリスクが上がるだけではなく、エストロゲンの分泌量低下にも影響があります。たばこを吸う人は吸わない人と比べると、不妊や早期閉経の傾向にあります。
これらは、たばこに含まれる有害物質の影響です。また、たばこを吸わない人もたばこから出る煙には注意をしなければなりません。
なぜなら、副流煙にも多くの有害物質が含まれており、喫煙と同じように人体への悪影響があるからです。当院では、膣の乾燥が気になる方には禁煙をおすすめしています。
薬の副作用
女性に多い乳がんですが、がん細胞は増殖しようとする時にエストロゲンの力を利用します。そのため、がんの増殖を防ぐためにエストロゲンの働きを抑える必要があります。
そこで適用されるのが「ホルモン療法」です。ホルモン療法の副作用として、月経異常や子宮内膜症、膣の乾燥が挙げられます。自身が服用している薬の副作用が気になる方は、専門医に相談してみると良いでしょう。
ストレスによるホルモンバランスの崩れ
身体に強いストレスがかかると、エストロゲンの分泌量が低下することが明らかになっています。エストロゲンを分泌するのは卵巣ですが、その卵巣に指令を出すのは脳にある視床下部です。
視床下部にストレスがかかるとホルモンをコントロールする能力に乱れが生じ、エストロゲンの分泌量が低下すると考えられています。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺の病変が特徴的な自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、自身の持つ免疫機能が自分自身の細胞や組織に対して過剰に反応してしまうことで異常を生じる疾患の総称です。
シェーグレン症候群を発症すると、女性ホルモンへの影響を受け、膣の乾燥を招きます。その他にも目や口の乾燥や皮膚の乾燥もみられます。
2.20代の性交痛は放置してはいけない
性行為の際に感じる痛みには個人差がありますが、がまんできるからと言って放置してはいけません。
性交痛を放置すると、以下のような弊害が生じます。
パートナーとの関係に影響する
痛みを伴う性行為は、苦痛に他なりません。苦痛を感じながら性行為を続けると、性欲や性的満足度の低下につながり、心の通った性行為ができなくなる可能性があります。
性行為に対して苦手意識が芽生えるとパートナーの要求にも応えずらくなり、パートナーとの関係が悪くなる可能性があります。
性行為だけが愛情表現ではありませんが、パートナーと良好な関係を築く上では大切な行為です。性交痛を感じた場合は早めにパートナーに打ち明け、適切な改善方法の実践や治療をしていきましょう。
尿路感染症を引き起こす
性交痛があるにもかかわらず性行為を続けると、ピストン運動による摩擦で炎症を起こすことがあります。その結果、尿道や尿管に細菌が入り込み、尿路感染症を引き起こす可能性があります。
>尿路感染症でよく耳にするのは「膀胱炎」や「尿道炎」です。尿路感染症の症状としては、排尿時の痛みや頻尿、残尿感があります。尿に血が混じる「血尿」も尿路感染症の症状の一つです。
萎縮性膣炎が進行する
萎縮性膣炎は、女性ホルモンの低下により膣内が乾燥し、膣の壁がただれる婦人系の疾患です。主に閉経前後の女性に多く見られる疾患ですが、20代でも膣が乾燥することで発症する可能性があります。
萎縮性膣炎の症状は、性交痛や灼熱感、かゆみ、出血、外陰部の痛み、黄色いおりものが代表的です。性交痛を放置すると萎縮性膣炎が進行し、重症化するおそれがあるため早めに専門の医療機関を受診しましょう。
3. 20代の性交痛を改善する方法
性交痛を改善するには早期に原因を探り、解決を図るのが重要です。
しかし中には、原因が分からず性交痛が続いてしまう可能性もあります。ここでは、性交痛を改善する具体的な方法を紹介します。
パートナーと一緒に性行為の方法を見直す
膣が乾燥する原因は様々ですが、性的な興奮の不足も膣が乾燥する大きな要因になります。女性が性的な興奮を感じると全身の血流量が増加し、膣の壁からうるおい成分が溢れてきます。
しかし、性的な興奮が足りないと全身の血流量に変化がなく、膣がうるおうことはありません。性行為の際に性的な興奮が足りていないと思い当たる方は、正直にパートナーに打ち明けてみましょう。
性交痛は女性側だけの問題ではありません。「パートナーと一緒に解決してく」ことで早期改善につながります。
潤滑剤を使用する
膣の乾燥を改善するには、専用の潤滑剤がおすすめです。潤滑剤には多くの種類がありますが、当院では「リューブゼリー」という商品を取り扱っています。
リューブゼリーは約40年前に性交痛緩和アイテムとして開発された水溶性の潤滑ゼリーです。人体への安全性が徹底的に配慮された信頼性の高い商品であるため、全国の産婦人科や泌尿器科でも推奨されています。
妊娠中や妊活中にも使用でき、男性側に塗布しても問題ありません。ただし、潤滑ゼリーで痛みを一時的に緩和できても根本的な治療にはなりません。
詳細はこちら⇨「性交痛を和らげるリューブゼリーについて」
専門の医療機関で治療する
膣の乾燥を根本的に治すにはレーザー治療がおすすめです。当院では、「インティマレーザー/Vタイトニング」という機器を導入し、膣の乾燥に対する専門的な治療をしています。
レーザー治療はメスを使用しないため身体への負担が少なく、ほとんど無痛で治療を受けられます。
また、施術は約15分で終わり、当日からシャワーも可能です。施術後の性行為は3日ほど控えていただく必要がありますが、その他の制限はありません。レーザー治療に関して疑問や興味のある方は当院までお気軽にご相談ください。
詳細はこちら⇨「性交痛【痛くて入らない】」
まとめ
膣の乾燥は、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量低下が大きな原因です。一般的には閉経前後の更年期によくみられますが、20代でも膣の乾燥は起こります。
原因によっては自身で改善ができますが、難しい場合もあります。また、膣の乾燥による性交痛を放置すると様々な弊害が生じるため、早めの治療が必要です。
当院は膣の乾燥や性交痛治療に精通した女性医師が診察から治療まで行います。膣の乾燥による性交痛でお困りの方は、当院までお気軽にご相談ください。