「セックスの時にバックで突かれると痛みを感じる」

「産後、久しぶりのセックスで後ろから挿入された時に痛くてできなかった」

このような悩みはありませんでしょうか。バックで挿入された時に感じる痛みの原因は様々であり、自身で特定するのは難しいです。また産後であれば、体調や心の変化からセックスに対して不安を感じ、痛みを伴うことがあります。今回は、セックスでバックから挿入された時に感じる痛みの原因と改善方法について解説します。

 

1. バックで痛みを感じる原因

バックで挿入された時に感じる痛みの原因は、主に以下の4つの要因が考えられます。

前戯が短い

バックからの挿入には限りませんが、痛みを伴わないセックスには膣内の潤いが必須です。膣内の潤いが十分に保たれていないと、ピストン運動により摩擦が生じ、膣の入口や奥の方に痛みを感じてしまいます。
膣内に十分な潤いを得るためには、一定時間の前戯が必要です。膣の潤いのもとである分泌液は、女性が性的興奮を感じた際に膣内の壁から分泌されるからです。
前戯の時間は個々によりますが、通常は10〜20分程度と言われています。前戯の時間が足りず性的興奮が感じられないと、膣内の潤いが不足したまま挿入が行われることになり、摩擦による痛みを引き起こします。

産後の不安定な心身状態

産後、身体が出産前の状態に戻ろうとする際に、ホルモンバランスの乱れや身体の疲労が影響し、膣の乾燥を引き起こすことがあります。
なかでも女性ホルモンであるエストロゲンの低下は、膣の乾燥を引き起こし、性交痛の原因となります。
また、産後の心理的な変化、例えば「縫ったところが裂けたらどうしよう」という不安感も膣や膣周辺にある筋肉の緊張を引き起こし、痛みを増幅します。

生理前症候群(PMS)

生理前症候群(PMS)は、生理が始まる1週間〜2週間前に見られる身体的、心理的症状のことを指します。ホルモンバランスの乱れにより、腹痛や頭痛、むくみ、不安、イライラなどが特徴的な症状です。
膣そのものに起こる物理的な痛みではなく、生理前症候群が起因する心的な症状がセックスの快感を阻害し、痛みを誘発します。

男性のピストン運動が激しすぎる

男性がいつもより興奮している時や、久しぶりのセックスの際に起こりやすいのが激しいピストン運動による痛みです。バックは他の体位よりも奥の方まで挿入できるため、勢いよく突かれると痛みを感じる場合があります。

2. 奥の方が痛む場合は病気の可能性もある

バックで挿入された際に奥の方で痛みを感じる場合、以下に解説する疾患の疑いがあります。

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来であれば子宮の内側に存在する組織が、子宮の外側で成長してしまう病気です。子宮の外側で成長した組織は、周期的に出血を引き起こし、組織の周囲に炎症や癒着を引き起こします。
子宮内膜症は痛みを伴うのが特徴で、月経痛や排便時、排尿時がその代表例です。また、時に性交痛を併発します。バックのように男性器が深く挿入される体位では癒着部分に刺激が加わり、激しい痛みを伴います。

卵巣嚢腫

卵巣嚢腫は、卵巣内に液体または半固体の嚢腫(のうしゅ)が形成される状態です。嚢腫が小さい初期段階では、自覚症状がなく自分では気づかないケースが多いです。
しかし嚢腫が大きくなると、周囲の組織を圧迫し、腹痛や腹部膨満感を引き起こします。そしてセックスの際に深く挿入されると、嚢腫が刺激されて痛みとして現れます。

クラミジア感染症

クラミジア感染症は、クラミジアという細菌によって引き起こされる性感染症の一つです。初期段階では無症状で進行することが多いため、放置されがちです。
しかし放っておくと感染が広がり、子宮頸管や子宮、卵管、卵巣などへ感染拡大につながります。感染症が進行すると、腹部痛や性交痛、不正出血などの症状が現れます。
セックスでバックから挿入された際に痛みを感じる場合、クラミジア感染症も疑わなければなりません。

3. バックで感じる痛みを改善する方法

性交痛は婦人系の疾患が疑われると同時に、パートナーとの関係性にも影響がでる可能性があるため少しでも早く解決したいものです。バックで挿入された時に感じる痛みへの対処法を4つ紹介します。

正直に痛いと伝える

パートナーに性交痛のことを伝えるのは、大変勇気が必要です。しかし、痛みがあるのを正直に伝えるのは大変大切です。痛みをがまんして無理に性行為を続けることで症状が悪化したり、心理的ストレスを感じる可能性があるからです。
またパートナーに正直に伝えることで、セックスの進行速度や挿入方法、体位などを工夫してくれる可能性があるため、奥の方の痛みが軽減する可能性があります。
パートナーに伝えるのは勇気が必要ですが、思い切って打ち明けてみましょう。

前戯を工夫する

セックスにおける前戯は大変重要です。前戯は心身の緊張をほぐすと共に、膣分泌液量を増やす効果があります。
具体的には、下記のような方法を試してみましょう。
・前戯を長くする
・ゆっくりしてもらう
・爪を切ってもらう
・ムード作りから工夫してもらう

痛みの少ない体位を提案する

奥の方が痛む場合、体位によって痛みの程度が変わる可能性があります。バックでは男性器が深部に達することがあり、痛みを感じやすいです。
女性が上位にくる体位では、女性自身がセックスのペースや深さをコントロールすることができるため、痛みを適切に管理することができます。
いずれにしても、パートナーと相談しながら痛みの少ない体位を見つけることが早期解決につながります。

潤滑ゼリーを使用する

膣が乾燥して奥の方に痛みが出ている場合は、挿入時の摩擦を軽減する目的で専用の潤滑ゼリーが効果的です。当院では、身体への安全性に徹底的に配慮して作られた「リューブゼリー」をおすすめしています。セックスをする直前に塗っておくことで、自然な潤いが再現できます。

4. 痛みが改善しない場合は専門の医師に相談する

改善方法を試しても痛みが改善されない場合は、専門の医療機関で治療を受ける必要があるかもしれません。「検査や治療は気が引ける」という方は、まず専門医のカウンセリングを受けることをおすすめします。

専門医のカウンセリングを受ける

生活習慣や心理状態、性の知識、恐怖心や不安などをヒヤリングし、必要な検査を行うことで痛みの根本的な原因を探れます。

専門の医療機関でレーザー治療を受ける

痛みの原因が膣の潤い不足と判断された場合、レーザー治療が効果的です。ひと昔前のレーザー治療は「痛い、怖い」とネガティブな印象をもたれていましたが、レーザー機器の進化により、ほとんど痛みを感じることがありません。
当院でも最新のレーザー機器を用いた安心安全の治療を提供しています。

まとめ

バックで挿入された時の痛みは身体的な問題だけでなく、心理的な要素も大きく関わっています。痛みがあることを恥ずかしいと思わず、パートナーと共有して一緒に解決していくという姿勢が大切です。また、痛みが続く場合には専門の医師に相談しましょう。
当クリニックでは、性交痛治療に精通している女性医師が、カウンセリングから治療まで一貫して担当します。安心してお気軽にご相談ください。