「30代になって性交痛が増えてきた」
「30代の性交痛って病気のサイン?」
「性交痛は自分で治せるのかな」
このようなお悩みはありませんでしょうか。性交痛は年齢に関係なく、多くの女性が経験する女性特有の問題です。30代で起こる性交痛の治療や改善は、ほかの年代で起こる性交痛と同じように、原因が分からないと対処はできません。性交痛の原因によっては自身で改善可能なものもありますが、病気や加齢が要因と考えられる場合は、専門のクリニックや医療機関での治療が必要です。本記事では、30代の性交痛の原因や治療法について詳しく解説します。
目次
1. 30代で起こる性交痛の原因
30代で起こる性交痛の原因は、以下の4つです。
・加齢によるもの
・婦人科の病気によるもの
・精神的なもの
・パートナーとの相性によるもの
加齢によるもの
痛みのないセックスには、膣のうるおいが必要不可欠です。膣のうるおいには、女性ホルモンであるエストロゲンの働きが重要です。エストロゲンの分泌量は、一般的に閉経前後に減少し始めますが、早い方では30代後半から減少しはじめます。エストロゲンの分泌量が減少すると、膣内の弾力が低下し、膣壁が薄くなっていきます。あわせて膣の粘膜のコラーゲンが減少するため膣内が乾燥しやすくなるのです。
膣内が乾燥すると、男性器が挿入された際に摩擦抵抗を感じやすくなるため性交痛の原因になります。
婦人科の病気によるもの
膣や子宮などが関連する婦人科の病気が性交痛の原因になる可能性もあります。
性交痛の症状が現れるのは以下の4つの疾患です。
- 子宮筋腫
- 卵巣腫瘍
- 子宮内膜症
- 性器クラミジア感染症
順番に解説します。
【子宮筋腫】
子宮筋腫は子宮に発生する良性の腫瘍で、30歳以上の女性のうち約20〜30%が罹患します。悪性(がん)ではないとはいえ、月経痛や異常出血、腰痛、頻尿など、生活の質に関わる症状が出現します。そのため、できるだけ早期に見つけて対処することが重要です。
また、セックスで奥の方を刺激された際に、深部で痛みを感じるケースがあります。さらに子宮筋腫は、位置や大きさにより、妊娠への影響も及ぼすことがあります。不妊や流産のリスクが上がる可能性もあるため、不安を感じたり、上述の症状が見られたら、専門医に相談しましょう。
【卵巣腫瘍】
卵巣腫瘍は、卵巣に腫瘍が発生する疾患です。卵巣は子宮の左右に各一つずつ存在する2〜3cm大の器官です。卵巣腫瘍は悪性化する可能性があるため、子宮筋腫とは異なり特に警戒が求められます。
腫瘍が小さなうちは、症状が現れにくいのですが、大きくなると腹部の張りや下腹部の痛み、頻尿などの症状が出始めます。腹部の張りや頻尿などの症状は、卵巣腫瘍の可能性を示す兆候となるため、注意が必要です。
また、性交時に下腹部に痛みを感じる場合もあります。男性器が直接腫瘍に触れることはありませんが、性交が激しい場合には腹部に痛みを引き起こすことがあるのです。症状が見られたら早めに専門医に相談し、早期発見・早期治療を心掛けましょう。
【子宮内膜症】
子宮内膜症は、通常子宮内に存在する子宮内膜やそれに類似した組織が、本来であれば存在しない部位に発生する疾患です。特に30歳から34歳の女性に多く見られますが、20代で発症する場合もあります。
発症箇所は、卵巣や子宮と直腸の間(ダグラス窩)など、膣より奥に位置する部分が多いです。主な症状としては、月経痛が挙げられます。また、性交痛も子宮内膜症の特徴的な症状です。その他、腰痛や下腹部痛、排便時の痛みなども子宮内膜症が疑われる症状であるため、気になる場合には早めに医療機関での診断が必要です。
【性器クラミジア感染症】
性器クラミジア感染症は、クラミジアと呼ばれる細菌によって引き起こされる性感染症の一つです。性器クラミジア感染症は、若年層の女性に多く見られ、主な感染ルートは性行為です。
初期段階では自覚症状が少ないため、見過ごされがちですが、進行するとさまざまな症状を引き起こします。特に、性交痛はその一つで、クラミジアが進行して子宮や卵巣、骨盤内へと炎症が広がると、強い下腹部痛も引き起こすことがあります。
感染防止のためには、適切な性行為と定期的な健康診断が必要です。
精神的なもの
性交痛の原因は、身体的な問題だけではありません。精神的な問題により性交痛が引き起こされる場合もあるのです。精神面が原因となって起こる性交痛は、過去のトラウマが関連します。
・セクハラ行為を受けた
・セックスの際に乱暴に扱われた
・ショッキングな映像を見た
このような経験がある方は、無意識的にセックスや性に対して恐れや嫌悪感を抱いている可能性があります。セックスに対し恐怖感や嫌悪感があると、十分な性的興奮が起こらず濡れにくくなります。うるおいを得るためには、心身ともにリラックスしている状態がのぞましいのです。
パートナーとの相性によるもの
パートナーとの関係性は、性交痛を引き起こします。前述した通り、膣のうるおいを得るためには女性の心と体のリラックスと性的興奮が必要です。しかし、女性が仕事やプライベートで疲れて気分が乗らない時に、パートナーから誘われたらいかがでしょう。理由を説明し、断れる関係性なら問題ありません。しかし、断りきれずセックスをする流れになると思うように性的興奮が得られないため、うるおいが不足して性交痛が引き起こされるでしょう。どんな時でもお互いの気持ちを尊重し合えるパートナーとの関係性や相性が重要です。
2. 30代が行える性交痛の対策
30代の性交痛対策は、原因の特定が優先されます。しかし、「まずは自分で改善できる方法を模索したい」という方は、下記の対策をおこなってみましょう。
潤滑ゼリーを活用する
セックス中に乾燥や摩擦による痛みを感じる場合は、潤滑ゼリーの使用をおすすめしています。潤滑ゼリーは、セックスの際に感じる不快感や痛みを軽減するために設計されており、人体への悪影響はありません。当院でも「リューブゼリー」という潤滑ゼリーを取り扱っておりますので、適切な使用方法や詳細については、お気軽にご質問ください。潤滑ゼリーの利用により性交痛が緩和され、パートナーと心地よい行為が可能になるかもしれません。
リューブゼリーについては「性交痛を和らげるリューブゼリーについて」をご参照ください。
精神的にも身体的にもリラックスする
適度なうるおいを得るためには、精神的にも身体的にもリラックスする必要があります。自分自身では大丈夫なつもりでも、無意識のうちに緊張やストレスを感じている可能性があります。以下の5項目を試してみましょう。
・パートナーと話し合う
・痛みのことを考えすぎない
・シャツを着たままセックスする
・部屋を暗くする
・避妊をする
【パートナーと話し合う】
パートナーに性交痛があるのを打ち明けるのは、うるおいを得るための重要なステップです。心配ごとや不安をさらけ出すと、お互いの理解が深まるからです。特に前戯の時間を十分にとるのは大切で、性的な興奮が得られやすくなると同時に自然と心と体がリラックスします。そのためうるおいが増し、性交痛の緩和が期待できるでしょう。
【痛みのことを考えすぎない】
性交痛の経験があると、「また痛くなるのではないか」と不安になりがちです。しかし、不安が逆に体を緊張させてしまう可能性があります。大切なのは、できるだけセックスを楽しもうとする心の余裕です。「痛みがあったらどうしよう」と必要以上に考えすぎず、自分のペースで楽しむようにしましょう。
【シャツを着たままセックスする】
セックスの際に、全裸になるのが恥ずかしいと感じる方もいらっしゃるでしょう。恥ずかしさからくる緊張は、うるおいの分泌を妨げるため性交痛の要因になります。
全裸になるのが恥ずかしい方は、無理に全裸になる必要はありません。上半身が隠れると、恥ずかしさが軽減され、セックスに集中しやすくなります。
【部屋を暗くする】
部屋の明るさも、リラックスするためには重要な要素です。明るい部屋だと恥ずかしさを感じてしまう方は、部屋を少し暗くしてみましょう。視覚的な刺激が少なくなることで、恥ずかしさが和らぎ、リラックスしやすくなります。
【避妊をする】
避妊をせずにセックスを行うと、「妊娠したらどうしよう」と不安が頭をよぎり、集中できなくなるかもしれません。そのため、適切な避妊法を用いることが重要です。安心して行為を楽しむためにも、パートナーと一緒に避妊方法について話し合い、理解を深めましょう。
専門家のカウンセリングを受ける
専門家のカウンセリングを受けるのも、自分で行える対策の一つです。カウンセラーは、痛みの種類や場所、痛みがおこりやすい状況などを聞き取りながら一緒に原因や改善方法を見つけてくれます。自分では気づけなかったことに対してもアドバイスをくれるため、活用してみるものよいでしょう。カウンセリングはレディースクリニックや女性専門の美容クリニックでも受け付けています。
当院でも性交痛に関するカウンセリングをお受けしていますので、お気軽にご相談ください。
3. 30代の性交痛を治療する方法
ご自身で対策をしても、改善がみられなかった方は治療が必要かもしれません。専門の医療機関で受けられる治療方法を解説します。
うるおい不足の場合にはレーザー治療が効果的
膣内のうるおい不足が原因で性交痛が引き起こされている場合、レーザー治療がおすすめです。膣内にレーザーを照射し、膣内の細胞を活性化させ、膣壁の弾力性向上を図ります。弾力性が増すと、膣が乾燥しにくくなるためうるおいを保持しやすくなります。レーザー治療はメスを使った治療ではないため、体への負担が少ないのが特徴です。レーザー治療については「性交痛【痛くて入らない】」をご参照ください。
婦人科疾患の場合は原因に沿った治療が必要
性交痛の原因が婦人科疾患と疑われる場合は、その疾患に沿った治療が必要です。診断や治療には専用の機器が必要なため、産婦人科や総合病院で診察を受けるのがのぞましいでしょう。
いきなり産婦人科や総合病院に行くのが不安な方は、まずはカウンセリングを受けてみましょう。カウンセリングで婦人科疾患が疑われる場合には他院を紹介できるため、ぜひご活用ください。
4. 30代でも安心、当院の特徴3つ
当院では30代の方でも安心して相談や治療が受けられるよう、以下の3つの特徴があります。
1.徹底的に配慮されたプライベート空間
完全予約制にし、貸切状態でカウンセリングや診察をおこなっています。
2.じっくりと時間をかけておこなうカウンセリング
一人ひとりのお悩みや希望をヒアリングするために、時間をかけてじっくりお話をうかがっています。
3.知識と経験に裏付けされた確かな治療技術
カウンセリングからアフターケアまでを、海外で経験を積んだ女性院長が担当します。
まとめ
30代で起こる性交痛の治療は、ほかの年代の性交痛と同じように原因究明が優先されます。自分自身で原因が分からない場合には、クリニックでカウンセリングを受けたり、専門の医療機関を受診するようにしましょう。また、性交痛の緩和を試してみたけど改善がみられない方は、婦人科疾患の可能性があるため、早めにカウンセリングや検査を受けることをおすすめします。
満行 みどり
略歴
国立佐賀医科大学(現佐賀大学)医学部卒業。その後九州大学医学部付属病院第二外科、佐賀県立病院などで外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
聖心美容外科東京院、大阪院、福岡院にて勤務後、横浜院院長、全国診療医長を歴任。
婦人科形成、脂肪吸引を始めとする多くの症例に携わる。
レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。また「女性器形成」「女性性機能障害」のスペシャリストとして、様々な論文執筆、講演会、ドクターへの指導を行う。
資格
所属学会