「産後、久々にセックスをしたら痛くてできなかった」
「次も痛みが心配で気分が乗らない」
「夫を傷つけないか心配」
このような産後のセックスの悩みは、デリケートな内容なだけに他人に相談できず多くの方が同じように悩んでいます。産後の性交痛には原因があります。この記事では産後の性交痛で悩む方へ、原因と改善方法を詳しく解説します。
1. 産後にやってくる性の悩み
出産は一世一代の大仕事。そんな出産を終えた体はダメージも大きく回復するまでに約1年はかかると言われています。また体だけではなく出産後は、慣れない育児で精神的にも疲労が溜まり疲れを感じやすく、ストレスを感じていることも多いです。
・「夫から誘われてもする気が起きない」
・「触られたくない」
・「出産の痛みや経験から、痛みが心配」
・「拒否して夫を傷つけないか不安」
このように出産後の女性は、性生活について様々な悩みを感じています。出産後「性欲がまったく沸かない」「夫を嫌いになったわけじゃないのにどうして」など性欲が沸かないといった悩みが多いです。実際に出産後の女性の約7割は性欲が低下したと感じており、これは心の問題だけではなく特に授乳中はホルモンバランスが変化して、様々な身体的トラブルが関係しています。出産時の痛みや経験などから、性行為への恐怖心を感じている方も多く、まだ痛いのではないか?という恐怖心を感じ性行為に踏み切れないという方もいます。
2. そもそも産後セックスはいつからOK?
産後のセックスはいつから可能なのでしょうか。産後一か月前後に会陰の傷や子宮収縮状態が良好かどうかを診察する一か月検診があります。出産によるダメージが回復するまでには一か月ほどかかると考えられます。一般的に出産による会陰の傷や、子宮のダメージが順調に回復したことが確認されれば、入浴や性生活が再開できるようになります。ただしこれはあくまで目安なので個人差があります。縫合跡などに痛みやトラブルが続く場合は医師と相談し、無理をしないようにしましょう。
3. 産後のセックスが痛い原因
「産後セックスを再開したが痛い」など産後の性交痛は多くの方が悩んでいます。産後の性交痛には3つの原因があります。
①ホルモンバランスの影響
妊娠から出産後は授乳の開始などによりホルモンバランスが大きく変化します。授乳することによってエストロゲンというホルモンが減少し、産後しばらくの間は頻回授乳をするお母さんも多いためエストロゲンの分泌量が少なくなります。産後のセックスが痛い原因のひとつとして「濡れない」悩みを持つ方が多いのは、このエストロゲンが関係しています。エストロゲンの働きのひとつとしてエストロゲンが低い状態が続くと膣の潤いが減少し、濡れにくくなり性交痛で痛みを感じやすくなります。気持ちの問題だけではなく性交痛を感じる原因はホルモンが影響しています。
個人差はありますが、月経が戻ってきたタイミングや授乳の有無によっても段々とホルモンバランスも整ってきて膣の潤いも回復してくるでしょう。
②会陰切開などの傷の痛み
出産時にできた会陰切開や裂傷後の回復は、一か月検診で子宮の収縮状況と合わせて診察してもらいます。だいたいの方が1か月ほどで痛みや違和感は回復することが多いですが、まれに傷跡に炎症が起きている、縫合がうまくいっていないことがあり、それが原因により性交痛で痛みを感じている場合があります。産後半年以上、何もしなくても会陰部分の「痛みが続いている」「違和感がとれない」などの症状がある場合は主治医や婦人科に相談してみましょう。
③心理的な問題
出産後は傷の痛みや、授乳などによりお母さんの体には大きな変化が起こると同時に、慣れない赤ちゃんのお世話での疲れやストレス、睡眠不足などもあり精神的にも大きな負担を感じることが多いです。そのため「性欲が沸かない」と感じる方は少なくありません。性欲が沸かない、気分が乗らない状態でのセックスは心身ともに大きな負担となり、痛みを感じることも考えられます。数か月ぶりのセックスは、痛みを感じやすいのは仕方のないことです。出産時の痛みの経験をすると、またその痛みの恐怖心で体を強張らせてしまい、セックスにストレスを感じることで痛みを感じる方もいます。産後の性生活は性欲が沸かないうちは無理をせず、まずはパートナーとしっかり話し合うことが大切です。
産後セックスの痛みを和らげる方法
産後に感じる性交痛の痛み、これは我慢するしかないのでしょうか。痛みを和らげる方法を解説します。
潤滑ゼリーを使う
産後は先述したようにエストロゲンが減少することによって「濡れにくい」ことにより性交痛を感じやすくなります。その際、潤滑ゼリーを使うことで改善される場合があります。潤滑ゼリーはローションとは用途や成分が異なります。ローションは基本的には膣内以外に使い感触を楽しむものであり、潤滑ゼリーは膣内に使える成分で出来ており、潤い不足で性交痛に悩む方が使うものです。産後のセックスや妊活時にも推奨しており安全性も高いので安心して使えます。薬局やネットでも手軽に入手しているので「濡れにくい」と悩んでいる方は無理して痛みを我慢せず、潤滑ゼリーを試していてはいかがでしょうか。
パートナーに相談する
産後、痛みの不安や気乗りしない等いま感じている悩みをパートナーに正直に相談してみることも大切です。例えば、「もう少しこうしてほしい」「痛みの少ない体位にしてもらう」「本当にしたいと思うまで待ってほしい」など要望を伝えてみるのはどうでしょうか。その際言い方には、気を付ける必要があります。痛みや不安を感じてつらい自分のことも尊重しつつ、パートナーに対しても悲観的にならずポジティブに今の状況や気持ちを伝えてみましょう。セックスの時だけ上手にコミュニケーションをとろうとするのではなく、日常から夫婦2人で話す機会やスキンシップを増やしお互いを尊重できる関係性を築いていくことも大事です。
痛みが改善しない場合は医師に相談
痛みを和らげる方法を紹介しましたが、それでも痛みが改善されない場合は医師に相談しましょう。会陰の傷の状態を確認してもらうのはもちろん、痛みや症状によっては婦人科疾患が原因となっていることも考えられます。あまりに痛みが続く、以前と体が明らかに違うと感じる場合は、かかりつけの産婦人科医などで相談するようにしましょう。膣の潤い不足やゆるみであれば、クリニックのレーザー治療で改善することもできます。
5. 性交痛を乗り越えた方の体験談
性交痛はパートナーにも相談しにくく、一人で悩んでしまう方が多いです。ですが産後の性交痛は原因が分かれば解決できることも多く産前のような性生活に戻ったという夫婦も多くいます。
・パートナーに相談したら気持ちを汲んでくれてストレスがなくなった
・産後の性生活のことから会話やスキンシップが増えて前よりいい関係になれた
・潤滑ゼリーを使うことで痛みが軽減した
・会陰の痛みが気になったのでクリニックに行き安心することができた
など、原因や改善方法を知ることで性交痛を乗り越え夫婦の関係も良くなったという方が多くいます。一人で悩まずパートナーに話すことも大事です。
6. まとめ
出産後の女性の体は非常にデリケートです。出産によりホルモンが大きく変化し、腟の潤いが減少することによって性交痛を感じることがあります。個人差はありますが、その多くは一時的なものでおよそ産後半年でその症状や、育児にも余裕が生まれ精神的にも落ち着いてくることが多いので過度に心配する必要はありません。
産後の性生活を始めるタイミングはそれぞれです。夫婦で性生活を始めるタイミングや不安や悩みなどパートナーとコミュニケーションを取り、一人で悩まず解決していきましょう。