閉経を迎えた女性のなかには、
・久しぶりにセックスをしたけど痛くてできなかった
・痛みが治らずパートナーの気持ちに応えられなくなったらどうしよう
・パートナーのためにも治したいけど自分ではわからない
このような悩みや不安を抱えている方もいるでしょう。
性交痛は多くの女性が経験するといわれており、その原因もさまざまです。
特に閉経後に生じる性交痛は、女性器周辺に関連する疾患が原因となっている可能性があるため注意が必要です。
そこで今回は、以下について解説します。
- 閉経後に起こる性交痛の5つの原因
- 閉経後に起こる性交痛の3つの改善方法
- 手軽に性交痛を改善できる潤滑剤について
閉経後の性交痛で悩んでいる方は、参考にしてみてください。
目次
閉経後に起こる性交痛の5つの原因
閉経後に起こりやすい性交痛の原因は、以下の5つです。
・萎縮性膣炎
・婦人科疾患
・性感染症
・骨盤臓器脱
・精神面
それぞれ解説します。
萎縮性膣炎
萎縮性膣炎は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少することで、膣内の壁が薄く、乾燥する疾患です。
アメリカの家庭内科医協会は、閉経後の女性の最大40%が萎縮性膣炎の症状を抱えていると発表しており、決してめずらしい疾患ではありません。
萎縮性膣炎を発症すると膣内の壁が薄く乾燥するため、男性器を挿入した際に性交痛を生じやすくなります。
また、性交痛以外にも以下の症状がみられる場合には、萎縮性膣炎が疑われます。
・膣内や外陰部の違和感
・膣の熱っぽさ
・セックスの際の不快感
・排尿時痛
・尿もれ
・黄色いおりもの
・不正出血
膣を清潔に保つのは重要ですが、膣内や外陰部を必要以上に洗う行為は、逆に皮膚や粘膜を傷つけてしまう恐れがあるため注意が必要です。
萎縮性膣炎は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量減少が原因であるため、ホルモン補充療法を受けることで改善が期待できます。
そのほかにも、レーザー治療や潤滑剤の利用も効果的です。
レーザー治療と潤滑剤については、後半で解説しますので、気になる方は参考にしてください。
婦人科疾患
閉経後にみられる性交痛は、婦人科疾患が影響している可能性もあります。
性交痛の症状を伴う婦人科疾患は、以下の3つです。
・子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
・子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
・卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)
それぞれ解説します。
子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜または子宮内膜に似た組織が、子宮の内側以外(卵巣・ダグラス窩など)の場所にできてしまう疾患です。
子宮内膜症には以下の症状があります。
・性交痛
・月経痛
・腰痛
・下腹部痛
・排便時痛
発生場所によっては長い年月を経て、がん化する可能性があるため早期治療が重要です。
子宮筋腫
子宮筋腫子宮筋腫は、30歳以上の女性の2〜3割にみられる疾患です。
子宮にできる腫瘍は、がん(悪性腫瘍)ではありませんが、以下のような症状を引き起こします。
・月経量の増加
・月経痛
・不正出血
・腰痛
・頻尿
・不妊
・流産
多くの場合、性交痛は伴いませんが、腫瘍ができた場所や大きさによっては性交痛を生じる可能性があります。
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍は卵巣に腫瘍ができる疾患であり、大きいものでは卵巣の数倍もの大きさになります。
卵巣腫瘍は子宮筋腫と異なり、悪性のケースがあるため、以下のような症状がある場合には早めの受診が必要です。
・腹部膨満感(お腹が張って苦しい)
・下腹部痛
・頻尿
症状が悪化すると、性交痛や下腹部痛の増強がみられ、ときに腫瘍が破裂する場合もあります。
性感染症
性感染症は、性行為によって感染する病気の総称ですが、感染経路は性行為だけではありません。
咳やくしゃみなどが偶然、口や目に入っただけでも感染する可能性があります。
また、すでに解説した萎縮性膣炎を発症している場合には、膣内の常在菌のバランス不良により性感染症にかかりやすい傾向にあります。
性感染症の主な種類は、以下のとおりです。
・性器クラミジア
・淋病
・膣トリコモナス症
・性器ヘルペス
・性器カンジダ症
・軟性下疳
・アデノウイルス性尿道炎
また、性感染症の種類によっては、性交痛にとどまらず骨盤内感染症や不妊を引き起こす可能性もあります。
知らないうちに、パートナーに移してしまう恐れもあるため、膣や膣周辺の異変を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱は、骨盤内の臓器(子宮や膀胱、直腸、小腸など)が膣から脱出する疾患です。
骨盤臓器脱は、骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋の機能低下が主な原因で、加齢や出産により引き起こされます。
症状は、以下のとおりです。
・性交痛
・挿入困難
・膣や下腹部の違和感
・頻尿・残尿感
・排尿・排便困難
・残尿感
・排便困難
・便秘
骨盤臓器脱は、症状が出てしまうと自然に治ることはないため、症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
精神面
痛みのないセックスには膣のうるおいが欠かせません。
しかし、緊張していたり不安が強かったりすると膣分泌液量が減少し、十分なうるおいが得られないため性交痛につながります。
また、仕事や家庭などのストレスを抱えていると、膣のうるおいに影響する女性ホルモンの分泌量が減少し、膣のうるおいが不足する傾向にあります。
閉経後に起こる性交痛の3つの改善方法
閉経後に起こる性交痛の3つの改善方法は、以下のとおりです。
・原因疾患を治療する
・レーザー治療を受ける
・パートナーと話し合う
それぞれ解説します。
原因疾患を治療する
性交痛の原因がわかっている場合には、性交痛の原因となっている疾患を治療するのが先決です。
たとえば、すでに述べた婦人科疾患や性感染症の場合、原因となっている疾患を治療することで性交痛の改善が期待できます。
性交痛や、日常的な膣の違和感がある場合には、婦人科を受診してみるとよいでしょう。
当院でも、性交痛や女性器に関するカウンセリングをおこなっています。
初めての方でも安心してカウンセリングが受けられるよう、プライバシー確保に配慮していますので、お気軽にご相談ください。
レーザー治療を受ける
女性ホルモンの減少により膣のうるおいが不足して性交痛が生じている場合には、レーザー治療がオススメです。
膣内にレーザーを照射することで膣の弾力性を向上させ、膣を乾燥しにくい環境に整えられるため、性交痛の緩和が期待できます。
またレーザー治療では、性交痛のほかに以下の効果が期待できます。
・膣のゆるみ改善
・尿もれ改善
・外陰部の黒ずみ改善
レーザー治療は、確かな効果が認められている一方で、施術者の知識や技術によって治療効果が左右されます。
当院では、アメリカレーザー医学会や日本美容皮膚科学会などの学会において精力的に発表をおこなっている女性院長が施術を担当します。
膣の乾燥を改善し、うるおいを得るためにはインティマレーザーという最新機器を用いた治療がオススメです。
レーザー治療を検討している方は、一度、当院にご相談ください。
パートナーと話し合う
久しぶりのセックスで緊張している場合や、痛みの出る体位・行為がある場合には、パートナーと話し合うのも効果的です。
性交痛は、あなた一人の問題ではなく、パートナーと二人の問題として一緒に解決していく方が、早期の改善ができます。
緊張している場合には、電気の部屋を暗くしてもらったり、前戯にかける時間を長くしてもらったりしましょう。
また、特定の体位や行為で痛みが生じる場合には、お互いに心地のよい体位や行為について話し合うとよいでしょう。
性交痛を改善したい場合には潤滑剤の使用もオススメ
「とにかくすぐに性交痛を改善したい」という方には、潤滑剤の使用がオススメです。
婦人科疾患や性感染症などの疾患に対する改善効果は低いものの、膣の乾燥が原因の性交痛に対しては、即効性があります。
当院でも「リューブゼリー」という潤滑剤を取り扱っています。
身体への安全に徹底配慮して作られており、身体への影響はほぼありません。
気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ
閉経後に久しぶりにしたセックスで、性交痛を感じると不安になるものです。
閉経後に生じる性交通の主な原因は、以下の5つが挙げられます。
・萎縮性膣炎
・婦人科疾患
・性感染症
・骨盤臓器脱
・精神面
性交痛を改善するためには、原因疾患を治療する必要がありますが、自分では判断できない場合が多いでしょう。
放置しておくと、症状が悪化して性交痛以外の症状が出現する恐れがあるため、不安な場合には婦人科など専門の医療機関を受診しましょう。
「婦人科にいくのに抵抗がある」「まずは気軽に相談してみたい」という方は、当院にご相談ください。
当院では、初めての方でも安心してカウンセリングが受けられるよう、完全予約制・完全貸切体制で診療をおこなっています。
性交痛は、一人で悩む必要はありません。まずはお気軽にご相談ください。
満行 みどり
略歴
国立佐賀医科大学(現佐賀大学)医学部卒業。その後九州大学医学部付属病院第二外科、佐賀県立病院などで外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
聖心美容外科東京院、大阪院、福岡院にて勤務後、横浜院院長、全国診療医長を歴任。
婦人科形成、脂肪吸引を始めとする多くの症例に携わる。
レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。また「女性器形成」「女性性機能障害」のスペシャリストとして、様々な論文執筆、講演会、ドクターへの指導を行う。
資格
所属学会