性交痛の改善につながる5つのセルフトレーニング

セルフトレーニングを取り入れることで「乾燥でこすれて痛い」「膣の入り口が狭くて挿入できずに痛い」といった性交痛の改善が期待できます。

性交痛の改善効果が期待できる5つのトレーニングは、以下のとおりです。

・ケーゲル体操
・膣トレグッズ
・ワイドスクワット
・会陰マッサージ
・ダイレーター

それぞれ解説します。

ケーゲル体操

ケーゲル体操(=骨盤底筋トレーニング)は、骨盤周りの血流改善や感度の改善につながります。代表的なトレーニング方法は、以下のとおりです。

【ケーゲル体操の手順】

1.排尿を我慢するように膣や肛門に力を入れる
2.1の状態を10秒ほどキープする
3.息を吐きながら、ゆっくりと力を抜く
4.1〜3までの行程を3〜5回繰り返す

ケーゲル体操は、仰向けでも立ったままの姿勢でもできる体操です。仰向けの際に力の入れ方がわからない方は、膝を立てて内側にクッションを挟み、落ちないように力んでみましょう。

ケーゲル体操によって骨盤周りの血流がよくなり、膣内の毛細血管が広がって潤滑液が染み出すため、性交痛がやわらぎます。

膣トレグッズ

ケーゲル体操が定着してきたら、「インナーボール」という膣のトレーニンググッズを取り入れるのもおすすめです。初心者は、オーソドックスなダンベル型のインナーボールを選びましょう。

インナーボールを膣に入れたままケーゲル体操をおこなうことで、力を入れる感覚が身につきます。徐々に慣らすためにも、1日に10〜15分程度から始めてみてください。

ワイドスクワット

ワイドスクワットで下半身の筋肉を鍛えると、膣内の血流がよくなります。血流の流れがよくなると毛細血管が広がり、血管からしみ出る潤滑液の量が増えるため、性交痛がやわらぐ仕組みです。

以下の手順に沿って、ワイドスクワットをおこないましょう。

【ワイドスクワットの手順】

1.肩幅よりもやや広めに脚を開いて立つ
2.つま先を外側に向ける
3.手を前に組み、腰をゆっくりと下ろす

太ももに負担をかけないように、腰を下ろす際はつま先と膝が同じ方向を向いているか確認しましょう。股関節の開きは個人差があるため、無理のない範囲で脚を広げてみてください。

会陰マッサージ

挿入時に「膣の入り口が裂けそうで痛い」という方は、会陰(えいん)マッサージを取り入れてみましょう。膣と肛門の間の皮膚を「会陰」と言い、この部分をマッサージで柔らかくすることで裂傷のリスクを下げられます。

会陰マッサージの手順は、以下のとおりです。

【会陰のマッサージ手順】

1.膣の入口周辺と指にオイルを塗る
2.台に片足を上げる
3.膣の入口部分に指を3cmほど入れる
4.縁に沿って下方向にマッサージをする
5.膣入口の下部分もUの字を描くようにマッサージをする

会陰部分はデリケートなため、入浴で体をきれいに洗ったあとにマッサージをおこなうのがおすすめです。オイルは、肌に負担の少ないスイートアーモンドオイルや薬用のオリーブオイルを使いましょう。安全性が高いオイルですが、使用前には必ずパッチテストをおこなってから使用するようにしましょう。

ダイレーター

「まったく挿入ができない」という方には、医師の指導のもとで「ダイレーター」を使ったトレーニングもおすすめです。

ダイレーターとは、先端に丸みのある筒状の医療器具のことで、長さは約14〜18cm、太さは約1〜数cmと、段階ごとに分けられています。

ダイレーター

引用:日本性科学会JSSS「膣ダイレーター-適応疾患と使用の実際-」

ダイレーターを使ったセルフトレーニングでは、膣周辺にある筋肉の極度な緊張状態をやわらげられます。使用方法や頻度は個人差があるため、医療機関を受診して医師の指導のもとでトレーニングをしましょう。

性交痛改善のためにトレーニングをする理由

性交痛改善のためにトレーニングをしたほうがよい理由は、いくつか挙げられます。

大きな理由は、ケーゲル体操やワイドスクワットを取り入れると骨盤周辺の血流がよくなり、うるおいやすい体を作れるからです。血流がよくなると膣内の毛細血管が広がり、潤滑液が流れ出やすくなるため、スムーズに挿入できるようになるでしょう。

また、挿入障害(ワギニスムス)である場合、医師の指導のもとでトレーニングを受けないと性交痛はなかなか改善できません。

ワギニスムスとは、挿入への強い恐怖心やゆがんだイメージによって膣周辺の筋肉が硬くなり、挿入が難しい状態のことです。ワギニスムスの診断を受けた場合は、ダイレーターを用いて自宅にてトレーニングをする必要があります。

「必ず効果を得られる」というわけではありませんが、セルフトレーニングは性交痛改善が期待できるため「痛くてセックスがつらい」と悩んでいる方は、ぜひ取り入れてみましょう。

性交痛がやわらぐトレーニング期間の目安は2〜3ヶ月

性交痛をやわらげるためのトレーニング期間は、2〜3ヶ月を目安にするとよいでしょう。

ケーゲル体操やワイドスクワットは、できるだけ毎日続けるのがおすすめです。4週目あたりになると、効果を少しずつ実感できます。

会陰マッサージの頻度は、週に3〜4回ほどが適切です。頻度が多いからといって効果を得られるわけではないため、毎日のマッサージは控えましょう。

ダイレーターによるトレーニング期間は個人差があるため、自己判断で辞めず医師の指導のもとでトレーニングを進めてください。

性交痛の原因は場所によって異なる

「性交痛」といっても、個人によって痛む場所や原因が異なります。性交痛が生じる場所は、大きく分けて2箇所です。

・入り口付近の性交痛
・深部の性交痛

性交痛が起こり得る原因とともに、詳しく解説します。

入り口性交痛

外陰部や膣の入り口周辺に生じる痛みを「入り口性交痛」と言います。外陰部に触れる、または男性器を挿入してすぐに痛みが出るのが特徴です。膣の入り口付近が痛くなる原因は、主に3つあります。

・うるおい不足
・処女膜強靭症
・挿入障害(ワギニスムス)

原因をひとつずつ見てみましょう。

うるおい不足

ヒリヒリとした痛みがある場合は、膣内や外陰部のうるおい不足が原因と考えられます。乾燥を招くのは、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量が少ないからです。

エストロゲンは、膣内の弾力を保つと共に、潤滑液の分泌にも大きく関わっています。しかし、睡眠時間や食事のバランスが崩れたりストレスを溜め込んだりすることで、エストロゲンは減少します。

エストロゲンが減ると膣内が萎縮して乾燥するため、性交痛が生じるのです。

処女膜強靭症

性交痛に悩まされる原因のひとつに、処女膜強靭症(しょじょまくきょうじんしょう)が挙げられます。

処女膜強靭症とは、本来なら柔らかいはずの膣の入り口付近にある「ひだ」が、厚くて硬い状態のことです。なかなか破れないため、セックスの際に痛みや出血が生じます。

処女膜強靭症を改善するためには、適切な治療が必要です。

こちらの記事で症状や治療法を解説していますので、参考にしてみてください。

処女膜強靭に関して詳しく解説

挿入障害(ワギニスムス)

挿入障害(ワギニスムス)である場合、膣に指を入れたり男性器を挿入したりすることが難しくなります。挿入への恐怖感やセックスへのゆがんだイメージによって、膣周辺の筋肉が異常に緊張するからです。

メンタル面が大きく影響しているため、医療機関にてカウンセリングを受けながらセルフトレーニングを進めることで改善につながります。

こちらの記事では、入り口性交痛に関して詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

入り口の性交痛に関して詳しく解説

深部性交痛

入り口性交痛だけでなく、性交痛には「深部性交痛」もあります。その名のとおり、膣の奥に痛みが出る状態です。

膣の奥に感じる痛みは婦人科疾患が隠れている可能性があるため、原因を詳しく見てみましょう。

婦人科疾患

婦人科疾患があると、膣の奥で性交痛を感じます。主に、以下の疾患が隠れていると考えられています。

・クラミジア感染症
・子宮内膜症
・子宮筋腫
・骨盤臓器脱 など

クラミジア感染症は主にセックスで感染しますが、初めのうちは無症状のため気づかない方も多く見られます。治療が遅れると卵管や腹腔内まで進行するリスクがあるため、膣奥の性交痛やおりものに変化があった場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

また、子宮内膜症や子宮筋腫も、膣の奥に痛みを感じる要因のひとつです。子宮や膀胱・直腸などの臓器が正常な位置から下がる「骨盤臓器脱」でも性交痛が生じます。

深部性交痛について、こちらの記事で詳しく解説しています。

奥が痛む性交痛に関してこちらで詳しく解説

トレーニングで解消できない性交痛は医療機関へ相談を

トレーニングで性交痛が解消しない場合は、医療機関へ相談をしましょう。

処女膜強靭症である場合、改善するためには手術が必要です。また、膣の乾燥を手早く改善したい場合は、レーザー治療が適しています。

当院では「処女膜切開手術」や「インティマレーザー治療」によって、根本的な性交痛の改善が可能です。レーザーによる膣の引き締め手術や女性器形成のライセンスを、日本女医として初めて取得した院長自らが施術をおこないますので、安心して利用できます。

インティマレーザーには、以下のメリットがあります。

【インティマレーザーのメリット】
・膣内のコラーゲン密度が増えるため、乾燥が改善される
・レーザー照射の痛みをほとんど感じない
・施術当日から日常生活を送れる(ただし、3日間のみセックスを控えていただきます)

「トレーニングでも性交痛が改善されず、誰に相談してよいかわからない…」と悩む方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

今回紹介した性交痛改善につながるトレーニングは、いますぐに実践できるものが多くあります。

・ケーゲル体操
・膣トレグッズ
・ワイドスクワット
・会陰マッサージ

2〜3ヶ月を目安にトレーニングを進めると、効果を実感できるでしょう。また「指を入れるのも痛い」という方は、医療機関を受診してダイレーターによるトレーニングも視野に入れてみてください。

ご自身にあったトレーニングで性交痛を改善して、パートナーとの性生活を楽しみましょう。