「はじめてセックスをした時、挿入すると痛みが強くて最後までできなかった」

「20代で処女だから性交痛があるのかな、治療した方がいいのか迷う」

このようにお悩みではありませんでしょうか。処女であれば、セックスの際に痛みを伴う可能性がありますが、必ずしも処女だけが痛みの原因とは限りません。20代で起こる性交痛の原因はさまざまで、少しの工夫ですぐに改善するものもあれば、専門的な治療を必要とする場合もあります。本記事では、20代で起こる性交痛の原因や治療方法を解説します。

1. 性交痛とは

性交痛とは、セックスの際に感じる痛みの総称です。全国の20〜69歳の男女を対象に、セックスや性の実情について一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センターがインターネット調査をしました。この調査によると、20〜40代女性の約66%がセックスの際に痛みを感じたことがあると回答しています。さらに20代の女性にいたっては、74.1%もの方が性交痛を経験したことがあると回答しています。性交痛は決してめずらしい症状ではなく、多くの女性が経験する身近な問題といえるでしょう。

2. 20代で起こる性交痛の原因

「処女であれば100%痛みを伴う」と思われがちですが、実は必ずしも痛みがあるとは限りません。処女膜はタンポン使用時や激しい運動によってすでに破れているケースがあり、処女であっても全く痛みを感じない方もいます。20代で起こる性交痛の主な原因は以下の3つです。

・体質的なもの

・うるおい不足によるもの

・婦人科の病気によるもの

体質的なもの

生まれもった体質により、性交痛が引き起こされる場合があります。

【処女膜強靭症】

処女膜強靭症は、生まれつき処女膜が厚く、硬い状態を指します。処女膜が硬いため、セックスの際に激しい痛みを感じやすく、時に出血を伴います。セックス以外では症状を感じられないため、性交時に初めて異常に気づくケースが多いです。処女膜強靭症の原因は生まれつきであることが多いです。医師が膣鏡などを用いて観察し、処女膜強靭症かどうか診断します。

【ラテックスアレルギー】

ラテックスアレルギーは天然ゴム製品に触れることで生じるアレルギー反応です。天然ゴムは、ゴム手袋などの医療用品のほかにも、ゴム風船やコンドームにも含まれています。ラテックスアレルギーで最も多い症状は、じんましんやかゆみ、発赤です。男性器を挿入した際に違和感を感じながらも行為を続けると、痛みを伴う可能性があります。

うるおい不足によるもの

性交痛の多くは「うるおい不足」が原因です。

男性器を挿入する際やピストン運動で生じる摩擦を円滑にしてくれるのが膣のうるおいです。

膣がうるおい不足におちいる原因を解説します。

【前戯が不十分な場合】

膣のうるおいを得るためには、性的な興奮が必要不可欠です。性的な刺激により脳が興奮すると、全身の血流量が上がるため下半身にも大量の血液が流れ込みます。すると膣壁から潤滑液が分泌されやすくなり、うるおいを得やすくなるのです。しかし前戯が不十分だと性的興奮が感じられず、うるおいが不足したまま挿入するため、性交痛が起こりやすくなります。

【ストレスや緊張による場合】

膣のうるおいを保つためには、性的な興奮を得ると共に、心身がリラックスする必要があります。しかし男性経験が少ない方や処女の方は、セックスの際にストレスや緊張を感じやすいため濡れにくくなってしまうのです。また過去に何らかのトラウマがあり、性に関してネガティブなイメージを持っている方は、無意識のうちに緊張が高まる傾向にあります。そのため十分なうるおいを得られず、性交痛が生じます。

婦人科の病気によるもの

婦人科の病気と聞くと「20代には無関係」というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。20代でもまれに、性交痛によって婦人科疾患が発覚するケースがあります。

【子宮筋腫】

子宮筋腫は、30歳以上の女性20〜30%にみられる病気です。

子宮にできる腫瘍ですが、悪性ではありません。しかし、貧血や痛みなどさまざまな症状を引き起こすため、早期発見と早期治療が重要です。

子宮筋腫の症状は、月経痛や異常出血、腰痛、頻尿などがあります。また、セックスの際に激しくされると奥の方が痛む場合があります。

子宮筋腫ができた場所や症状によっては、不妊や流産の症状が生じるため、気になる方は早めに医療機関を受診しましょう。

【卵巣腫瘍】

卵巣は2〜3cmの大きさで、子宮の左右にひとつずつ存在します。卵巣腫瘍はその名の通り、卵巣に腫瘍ができる病気です。子宮筋腫とはちがい、悪性腫瘍の可能性があるため特に注意が必要です。

卵巣腫瘍の症状はお腹の張り、下腹部の痛み、頻尿などがあります。腫瘍が小さいうちは症状はありませんが、大きくなるにつれて症状がはっきりとしてきます。

男性器が直接、腫瘍には当たりませんが、行為が激しいと下腹部に痛みを感じるかもしれません。

【子宮内膜症】

子宮内膜症は、子宮内膜や子宮内膜に似た組織が、何らかの原因で子宮内膜以外の場所に発生する病気です。30〜34歳が発症のピークといわれていますが、20代でも発症します。

子宮内膜症ができる場所は、卵巣や子宮と直腸の間(ダグラス窩)など膣より奥の場所です。代表的な症状は月経痛などの痛みで、セックスの際にも痛みが出現します。性交痛のほかに、腰痛や下腹部痛、排便時痛がある場合は子宮内膜症も疑われるでしょう。

【性器クラミジア感染症】

性器クラミジア感染症とは、クラミジアという細菌に感染して発症する性感染症です。比較的若い年齢の女性に多く、感染経路は主に性行為です。

クラミジア感染症が進行すると性交痛だけにとどまらず、子宮や卵巣、骨盤内に炎症が広がるため、激しい下腹部痛が生じます。

3. 20代の性交痛を治療する方法

20代の性交痛を治療する場合、原因を特定してその原因疾患に合った治療をする必要がある。

処女膜強靭症の治療方法

処女膜強靭症の治療は、性交痛の原因となっている処女膜の硬い部分を切除する手術療法が一般的です。処女膜がある入口付近だけではなく、奥の方も痛む場合には膣粘膜を保護するレーザー(インティマレーザー)治療も検討されます。処女膜強靭症の治療については「処女膜切開術で解消できる悩みと治療法」をご参照ください。

婦人科疾患の治療方法

婦人科疾患を治療する場合、それぞれの疾患に合わせた治療が必要です。原因を特定するのが最優先されるため、痛みを感じて不安な場合には専門の医療機関への受診をおすすめします。当院を受診し、婦人科疾患が疑われた場合には専門の医療機関を紹介しています。まずは、気軽に相談することから検討してみましょう。

4. 20代の性交痛をすぐに解消するには

「性交痛を早く改善したい」「まずは自分でできる改善方法を試してみたい」という方に向けて、以下の3つの方法を紹介します。

・パートナーに性交痛があるのを打ち明ける

・愛撫に時間をかけてもらう

・潤滑ゼリーを使用する

愛撫に時間をかけてもらう

性的な興奮が不十分でうるおいが足りていない場合には、愛撫に時間をかけてもらうようにしましょう。長すぎるとお互いが疲れる可能性もあるため、15分程度が目安です。愛撫に時間をかけてもらうのが恥ずかしい方は、部屋を暗くしたり慣れた場所でおこなったりするなどの工夫をしてみましょう。

潤滑ゼリーを使用する

うるおい不足で痛みが生じている場合には、潤滑ゼリーの使用がおすすめです。潤滑ゼリーは性交痛緩和を目的に作られているため、体への害はありません。当院でも「リューブゼリー」という商品を取り扱っています。お気軽にお問い合わせください。リューブゼリーについては「性交痛を和らげるリューブゼリーについて」をご参照ください。

5. 20代でも安心、当院の治療方針

性交痛はとてもデリケートな問題です。そのため20代という若い年代では、病院に相談にいくのが恥ずかしいという方もいらっしゃいます。当院では、ほかの患者さまとお顔を会わせなくてすむよう完全予約制にし、プライバシーの確保に細心の注意を払っています。またカウンセリングから治療、アフターケアまで、院長である女性医師が担当します。「病院にいくのが初めて」の方でも安心して相談が受けられるよう、万全の体制を整えています。

まとめ

20代で起こる性交痛の治療は、原因に沿った治療が必要です。処女の方であれば、セックスの際に痛みや出血を伴う可能性がありますが、必ずしも処女が性交痛の原因ではありません。性交痛の種類や原因によっては早めの診断と治療が必要な場合があります。性交痛でお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。

みどり美容クリニック 広尾

院長 みつゆきみどり

2010年、日本初となる美容婦人科を開院した女性器形成・婦人科形成のパイオニア。デリケートゾーンに関する様々な問題を解決するために、日々患者様と向き合っている。