性交痛とは、セックスの最中、あるいは前後に生じる痛みや不快感のことです。

女性の誰もが抱えうる問題で、若年層である20代も例外ではありません。今回の記事では、性交痛が起こる原因や対処法について解説します。性交痛にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1. 20代で生じる性交痛の原因9選

性交痛とは性交時に生じる痛みのことです。性行為の前後や最中に、膣内がヒリヒリしたり鋭い痛みを感じたりします。20代女性の74.1%が性交痛に悩んでいるという調査結果もあり、決して珍しい悩みではありません。

この章では、性交痛が発生する9つの原因について解説します。

原因1.処女膜強靭症

処女膜強靭症とは、薄くて柔らかいはずの処女膜が硬かったり厚かったりする状態のことです。セックスの際に、処女膜が破れたり伸びたりしないことが原因で膜がつっぱり、強い痛みを感じる場合があります。

処女膜強靭症は先天性のものであり、放置していても直接身体に悪影響を与えることはありません。しかし、性交時の挿入やタンポンが入れられないことで改善が必要な場合は、クリニックで切開・切除を行います。

原因2.子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできるコブのような良性腫瘍のことです。発生した筋腫が、セックスの際に動いたり、コブの茎部分がねじれたりすることで、痛みが生じるケースがあります。成人女性のおよそ3割は筋腫をもっていると言われるほど頻度の高い病気で、無症状であれば治療の必要がない腫瘍です。

筋腫ができる理由は解明されていませんが、成人年齢を迎えるあたりで発症することから、女性ホルモンのエストロゲンが関係していると言われています。治療が必要な場合は、薬物療法・手術療法を行うのが一般的です。

原因3.子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮の内側を覆っている子宮内膜の組織が子宮以外の場所で増えてしまう病気です。骨盤内で増殖をすると、セックスで挿入した際に子宮と癒着した箇所がひきつり、性交痛が生じます。子宮内膜症を発症する原因は、排出されなかった一部の月経血が逆流し、周囲の組織と癒着を起こすことで発症すると言われています。クリニックで治療する場合は、薬物療法・手術療法を行うのが一般的です。

原因4.子宮膣部びらん

子宮膣部びらんとは、子宮頸部が赤く変化してただれているように見える状態のことです。子宮膣部びらんのほとんどは無症状ですが、細菌感染などの炎症を起こすことで性交痛に発展するケースがあります。エストロゲンの働きにより子宮膣部がふくらむことで、びらんのように見える箇所が発生すると言われています。女性ホルモンの分泌が活発になる20〜40代に多く見られる症状です。子宮膣部びらんが発生する箇所は、子宮頚部がんが発生する場所であることから、定期的な検診が推奨されています。

原因5.小陰唇肥大

小陰唇肥大とは、女性器の一部である小陰唇が肥大している状態のことです。何cm以上だと小陰唇肥大、という明確な定義はありませんが、足を閉じた状態で小陰唇のヒダが少し見える程度が正常・大きくはみ出したりぶら下がったような状態であれば小陰唇肥大と定義されるのが一般的です。ヒダが大きく発達すると、性交時にヒダが膣側に巻き込まれ、痛みを引き起こすことがあります。小陰唇肥大は、先天的なもので必ず治療が必要なものではありませんが、かゆみや炎症を起こすようであれば、 手術やレーザー機器などで小陰唇を適切な大きさに整えます。

原因6.性感染症

性感染症は、性行為を介して病原体に接触することで感染する病気のことです。代表的な性感染症としてクラミジアが挙げられます。クラミジアは、日本国内でもっとも多い性病と言われており、感染して炎症を起こすと下腹部痛や性交痛を引き起こします。クラミジアは自然治癒しないため、抗生物質などで治療するのが一般的です。

原因7.膣の乾燥

性交痛の原因でもっとも多く挙げられるのが膣の乾燥です。膣のうるおい不足のままピストン運動を続けると、粘膜を傷つけ、膣に痛みが生じます。濡れなくなる原因は大きく分けると2つあります。1つ目は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少です。エストロゲンは乳房の発達や子宮の発育など、いわゆる女性らしい体を作るためのホルモンのことです。このエストロゲンの分泌量は変動を繰り返しながらも20代でピークを迎え、40代半ばあたりから減少していくと言われています。エストロゲンが減少すると共に分泌液も減るため、膣が乾燥してしまいます。

2つ目は、精神的な要因です。膣は敏感な器官で、ほんの少しストレスを感じただけでも乾き始めます。詳しくは次の見出しで解説します。

原因8.ストレスや緊張

ストレスや緊張は、膣の乾きやすさにつながり、性交痛を招きます。キスやボディタッチなどで幸福感が高まると、オキシトシンという幸せホルモンが分泌されます。その状態でさらに性的興奮が高まると、下半身に血液が集中し、膣が濡れた状態となるのです。しかし、体が緊張やストレスでこわばっていると性的興奮が高まらず、膣が乾いた状態となってしまい、挿入時の痛みにつながります。

原因9.パートナーとの相性

膣が濡れていない段階でペニスの挿入やピストン運動をしてしまうと、膣に痛みが生じてしまいます。これは前戯が不十分な状態でも起こるので注意が必要です。膣が乾いた状態で無理にペニスを動かすと、膣の入り口や粘膜を傷つけ、出血を起こすこともあります。とくに、自分の膣が狭い、パートナーのペニスが大きいなど、お互いの体格差がある場合は前戯の時間を十分にとる必要があるでしょう。

2. 性交痛の5つの対処法

性交痛は、セルフケアで治る軽度のものから、クリニックで手術が必要なものまであります。ここでは自宅でできる対処法をご紹介します。

対処法1.パートナーに相談する

セックスに対する要望をパートナーに相談しておきましょう。例えば、前戯の時間を十分にとってほしい、挿入はゆっくりしてほしいなどです。こうした要望を1人で抱え込んだままにすると、精神的な要因から性交痛を引き起こす可能性があります。パートナーに相談しておくことで、ストレスや緊張を緩和できます。

対処法2.潤滑ジェルを使う

膣の乾燥が原因であれば、潤滑ジェルなど膣のうるおいを補うアイテムを活用しましょう。産婦人科でも推奨されている「リューブゼリー」は、ドラッグストアでも手軽に購入できます。性行為の直前に塗っておくと、自然なうるおいを再現でき、性交痛の改善に役立ちます。

対処法3.セルフケアで慣らす

自分の指で、挿入の感覚に慣らす方法もおすすめです。性交痛を改善する方法としてダイレーターという、膣口と膣の中を広げる器具を使う方法もあります。こちらは、通販やクリニックで入手できます。

対処法4.食生活を意識する

大豆イソフラボンとビタミンDを摂取できる食生活を意識してみましょう。大豆イソフラボンは、納豆や豆乳、味噌など大豆製品に含まれている栄養素で、女性ホルモンに似た働きをします。また、ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける栄養ですが、膣内の水分を高める効果もあると言われています。ビタミンDは、サケ・いわしなどの魚類や、シイタケやきくらげなどのきのこ類に多く含まれるので、食事メニューに取り入れてみましょう。

対処法5.クリニックに相談する

ここまで、セルフケアでの対処法をお伝えしましたが、性交痛が改善しないようであればクリニックへの相談がおすすめです。どんな時に、どの部分が、どのように痛むのかを医師に伝えることで、性交痛の原因を把握し、改善することにつながります。婦人科・婦人科形成で、一度診察を受けてみましょう。

まとめ

本文中にもお伝えしたとおり、性交痛にお悩みの方は、一度クリニックにお越しください。当クリニックは、完全予約制を採用しており、カウンセリングでは院長とゆっくりお話ができるようにお時間を確保しております。カウンセリング予約・お悩み相談は、Webフォームより24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

みどり美容クリニック 広尾

院長 みつゆきみどり

2010年、日本初となる美容婦人科を開院した女性器形成・婦人科形成のパイオニア。デリケートゾーンに関する様々な問題を解決するために、日々患者様と向き合っている。