セックスの際に出血し、「何らかの病気ではないか」「痛いし血が出るからセックスしたくない」「でもパートナーとの関係は大切にしたい」と思い悩む女性は少なくありません。
セックスでの痛みや出血などの性交痛で悩んでいる年代は20代~60代と幅広いですが、完全にプライベートな悩みなので婦人科で治るのかどうかもわからず、長年ひとりで抱え込んでしまっている方が本当に多いです。
セックスの際に出血した場合、心配ないものから病気によるものまで、原因はさまざまです。
この記事では原因から対処方法についてわかりやすく解説します。
性交痛とは
セックスで出血してしまうのは「性交痛」の症状の一部です。
出血だけでなく、刺すような痛み、圧迫感、締め付け感、ひりひり感、けいれんなどのセックスの最中に発生する痛みからセックスを終えた後に発生する痛みなど、セックスに際して発生する痛みや違和感の総称が「性交痛」となります。
痛みや出血のある箇所で原因は異なります
性交痛の原因は、疲れている等の精神的要因から、生まれつき膣が狭いなどの身体的要因、子宮内膜症などの疾病要因などさまざまで、これらの要因が複数重なって性交痛を引き起こしているケースもあります。
腟の入り口の部分が痛い場合は、腟が十分な体液を分泌しておらず、腟が乾燥している場合がほとんどです。
腟が乾燥してしまう原因としてはストレスや緊張、前戯が不十分、処女膜強靭症、小陰唇肥大、出産後、性感染症などが考えられます。
一方で奥が痛む場合は、腟の乾燥ではなく病気が疑われます。
奥の痛みを感じる場合は子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症などが疑われますので、婦人科形成ではなく一般の婦人科を受診しましょう。
また閉経後の女性は「萎縮性腟炎」の可能性があります。女性ホルモンの低下が原因で、膣の壁が乾いてただれる疾患です。
しかし、年齢的に子宮体がんや子宮頸がんの可能性もありますので、閉経後の女性はどんなに少量の出血でもすぐに受診してください。
自身で対処できるケース
セックス中や後に出血しても心配ないケースは、出血が「1回限り」の場合です。
出血に驚いてしまい、何かしらの病気なのかもと心配になるかもしれませんが、セックスに際しての出血は思ったより一般的で1回限りであればなおさらです。
子宮の入り口付近は出血しやすくなっているので、ちょっとした刺激で出血します。特に若い人は出血しやすいです。
また、疲れている等のストレスの影響など、ちょっとしたメンタルの不調でホルモンバランスが乱れているところにセックスの刺激が重なって出血することもあります。
このような場合でも、セックス後がピークで1~2日で自然に収まってくるようでしたら過度な心配は不要です。
自身での対処方法
ストレスがある場合は、ストレスを解消するのが先決です。ご自身の身体を労わるタイミングとして過ごしてください。
また、パートナーの協力が非常に重要です。パートナーに相談したくてもなかなか言い出しにくく我慢してしまっている女性が多いですが、我慢に我慢を重ね、恨みつらみが爆発してしまう前に相談しましょう。
パートナーは女性の身体に対して間違った知識があるかもしれませんので、「そのタッチは痛い」など具体的に伝え、痛みや出血の心配をパートナーと共に上手に解決していきましょう。
なお、産婦人科医療の現場でも推奨されている潤滑ゼリー「リューブゼリー」を使うのが手軽に始められおすすめです。
婦人科で対処すべきケース
「奥が痛む」「出血が続く」「強い痛みがある」場合は婦人科系の病気の可能性があり、放置せずに必ず婦人科を受診しましょう。
婦人科には、婦人科と婦人科形成がありそれぞれで治療の範囲が異なります。まずは診察科目に性交痛がある婦人科を受診し、婦人科系の疾患がないか確認してもらいましょう。
処女膜などが原因の場合、通常の婦人科では「異常なし」と言われてしまう場合や治療に積極的ではなく改善が見られない場合ありますので、婦人科形成を受診することをおすすめします。
婦人科での治療
問診や内診による診察を行い、腟粘膜の炎症や萎縮があるかを調べます。
性交痛や萎縮性腟炎の治療薬としてはエストリオール腟剤があり、健康保険が適用になります。エストリオール腟剤は腟に入れる座薬で腟周囲にのみ作用する治療薬です。
また更年期などの女性ホルモンの低下が原因の場合は、HRT(ホルモン補充療法)が選択される場合もあります。
出血や痛みが婦人科系の疾患が要因の場合は、それぞれ治療法が変わってきますので、適切な治療で症状を改善するためにも専門医に相談してください。
婦人科形成での治療
婦人科系の疾患以外に原因がある場合は、婦人科形成のクリニックで治療ができることがあります。
下記は医師の診断のもと施術される方法ですので、まずは婦人科形成のクリニックを受診し医師と相談うえ治療を進めてください。
処女膜切開・切除術(https://midocli.com/subject/jyoseiki/hymen/sekkai/)
先天的に処女膜が厚くて破れにくい状態を、処女膜強靭症といいます。
症状としては、性交時に挿入がうまくいかなかったり出血があったりして、毎回強い痛みをともないます。
処女膜切開・切除術は、処女膜を切開することにより膣の入り口を広げ、挿入をスムーズにする手術法です。費用は以下のとおりです。
処女膜切開術 税込231,000円~(処女膜強靭症のレベルにより変わります)
インティマレーザー/Vタイトニング(https://midocli.com/menu/vtightening/)
レーザー照射によるコラーゲン生成効果で膣内をふっくらと改善し、炭酸ガスの効果で膣壁の血流を改善し、膣分泌物を増加させ潤いをもたらす治療方法です。
安全性が高くメスを使用しないため失敗のリスクが少なく、痛みやダウンタイムも最小限で済みます。
費用は以下のとおりです。
インティマレーザー(Vタイトニング) 初回:税込 217,000円、2回目以降: 176,000円
小陰唇縮小手術(https://midocli.com/subject/jyoseiki/syoinshin/ope/)
小陰唇が大きいとセックスの際に巻き込まれて痛みを感じることがあります。
小陰唇縮小手術は、局所麻酔で行う簡単な手術で女性器形成の手術の中でポピュラーな手術です。
セックスの時だけではなく、スポーツなどで体を動かすときに下着と小陰唇が擦れてしまう、自転車に乗ったときに痛みが出るなど場合は、この手術を受けることでお悩みの改善が期待できます。
費用は以下のとおりです。
小陰唇縮小手術 税込 275,000円
DLV(レーザーによる小陰唇縮小) 税込 385,000円
ドクターの見分け方
治療するために、せっかく勇気を出して受診したものの「異常なし」や「慣れれば大丈夫」などと医師から言われてしまい、婦人科に行くことが苦痛になってしまうことがあります。
これは婦人科でも性交痛を積極的に診ていないクリニックで起こりうることです。こういったミスマッチを防ぐためにもまずはクリニックのホームページを確認しましょう。
また性交痛を診てくれるクリニックの中でもよいクリニックかどうかを判断する基準として、ホームページできちんとドクターが顔写真と名前を出して、ビジョンを話していることが大切です。
クリニックの目指す方向性や治療する上で大切にしていることをきちんとうたっているかどうかチェックし、ご自身に合うかどうかを判断しましょう。
性交痛はプライベートな悩みです。比較的簡単に治る場合もあれば、長期的な治療の継続が必要な場合もありますので、精神的にも寄り添ってくれる専門医を見つけ安心して治療に臨んでください。