性交痛は感染症や膣の病気、更年期障害などが要因で起こります。また性交痛以外にも、出血を併発する方もいます。
性交痛や出血が生じている方の中には、原因がわからずパートナーとのセックスで悩んでいる方がいるかもしれません。
性交痛と出血の併発は、生活の質の低下や、性生活を妨げる要因になるため、早期の改善が望ましいでしょう。

そこで本記事では以下について解説します。

 

  • 性交痛や出血する原因
  • 性交痛や出血を改善する方法
  • 性交痛や出血はパートナーと一緒に解決するのが重要

 

性交痛でお悩みの方は参考にしてください。

性交痛や出血する原因

性交痛や出血を改善するためには、要因を知る必要があります。性交痛や出血が起こる要因は以下の5つが挙げられます。

・処女膜強靭症
・膣の乾燥
・性感染症
・子宮の病気
・セックスの仕方

それぞれ詳しく解説します。

処女膜強靭症

処女膜強靭症は、生まれつき処女膜が厚く硬くなっている疾患です。経血が通る隙間しかないほど、膣の入り口が狭くなっているのが特徴です。
そのため、無理に男性器や指を挿入しようとすると痛みや出血を伴う可能性があります。
処女膜強靭症は、自然治癒するケースは少ないため、治療するには手術療法で処女膜を切開する必要があります。

性行為のたびに強い痛みを感じたり、挿入が難しい場合には、処女膜強靭症の可能性があるため、医療機関で検査を受けるようにしましょう。

膣の乾燥

精神的な不安や、更年期によるホルモンバランスの乱れは、膣の乾燥を招き、性交痛や出血を引き起こします。膣が乾燥している状態でセックスを行うと、摩擦により痛みが生じるからです。さらに、痛みがあるにもかかわらず行為を続けると、外陰部や膣内部に損傷を与えてしまい、出血の要因にもなるのです。

精神的不安によって膣が乾燥するのは、以下の要因が考えられます。

・過去のセックスによるトラウマ
・過労やストレスにより、ホルモンバランスの乱れ

また、更年期を迎えると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下するため、以下の症状がみられるようになります。

・血流低下による膣分泌液量の減少
・膣粘膜の薄化
・膣内細菌のバランス不良による雑菌の繁殖

膣の乾燥は、精神状態やホルモンバランスが深く関係している症状です。単なる体質的な問題ではないことを念頭に置いておきましょう。

性感染症

性感染症は性交痛や出血を引き起こす可能性があります。性交痛が発生する性感染症は主に以下の4つです。

・淋菌感染症
・膣トリコモナス感染症
・性器ヘルペスウイルス感染症
・性器カンジダ症

いずれの疾患も性交痛のほかに、腰痛や下腹部痛下腹部痛などの症状を併発します。これら婦人科疾患で生じる性交痛の特徴としては、男性器を挿入した際に、奥の方に痛みを感じる点です。

淋菌感染症

通称「淋病」といい、淋菌という細菌に感染して起こる病気です。国内問わず、世界中で感染が確認されています。感染すると子宮頚管炎や尿道炎を起こすため、性交痛や出血を招きます。

【原因】
・性行為
・手指やタオル
・分娩時の産道感染

【症状】
・発熱
・下腹痛
・関節や皮膚の炎症

淋菌感染症は、女性では痒みがないことが多く、気づくのに時間がかかる場合があるので注意が必要です。

膣トリコモナス感染症

寄生虫による感染症です。肉眼では見えない寄生生物が、膣内に入ることで感染します。感染すると陰部に炎症が起き、過敏になるため性交痛や出血を招きます。

【原因】
・性行為
・検診台
・便座
・浴槽

【症状】
・臭いが強い黄緑のおりもの
・排尿時の痛み
・下腹痛

妊娠中の女性は、早産や早期破水を招くこともあるので注意が必要です。

性器ヘルペスウイルス感染症

ウイルスの1種である、単純性ヘルペスウイルスに感染して起きます。性器または、その周辺の皮膚に症状が現れることが多いです。感染すると陰部やその周辺に水ぶくれが発生し、潰れると激しい痛みを伴うため、性交痛や出血を招きます。

【原因】
・性行為
・口と性器の接触
・産道感染

【症状】
・陰部に水泡や発疹
・痒み
・患部の痛み
・発熱

症状が治まってもストレスや過労、月経などが要因で再発します。

性器カンジダ症

国内で最も多い真菌(カビ)症です。性器カンジダ症は、菌体成分に対する過敏反応により起きます。感染すると、陰部に炎症が起き性交痛や出血を招きます。

【原因】
・性行為
・免疫力の低下

【症状】
・陰部の痒み
・白いおりもの
・性器の炎症

健康な体の方が元々持っていることもあるので、全てが性器カンジダ症というわけではありません。ストレスや疲れによって発症することもあります。

子宮の病気

性交痛の原因に、子宮の病気が隠れていることがあります。主な子宮の病気は以下のとおりです。

・子宮頸がん
・子宮頸管ポリープ

それぞれ詳しく解説します。

子宮頸がん

子宮頸部にがんになる前の腫瘍が発生し、のちに子宮頸がんになります。比較的若い世代に多いのが特徴です。
子宮頸がんの初期は性交痛や出血はありません。しかし、がんが子宮の外に広がると腫瘍が刺激され性交痛や出血を招きます。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管内にできる突起物で、基本的には良性の腫瘍です。また、子宮頸管ポリープはほとんど体感できる症状は発生しません。
しかし重症例では炎症や感染症を引き起こします。そのような場合には性交痛や出血の要因になります。

セックスの仕方

疾患や病気以外で性交痛や出血を伴う場合は、以下のようなセックスの方法に原因があるかもしれません。

・パートナーの爪が長い
・十分に濡れていない
・緊張している

それぞれ解説します。

パートナーの爪が長い

女性の膣内はデリケートなため、長い爪で愛撫されると傷ついてしまいます。また、セックスの方法が荒い場合は、爪が短くても膣内に傷がつき、性交痛や出血が起きます。

十分に濡れていない

女性にとって、パートナーとの信頼関係や、雰囲気は重要です。また、時間をかけて前戯してもらうことで、リラックスでき、膣内はうるおいます。
膣内が濡れていない状態でセックスをすると、摩擦により性交痛や出血が発生しやすくなるのです。

緊張している

久しぶりのセックスや、過去にトラウマがある場合、膣や膣周辺の筋肉が緊張して硬くなることがあります。
膣の入り口が狭く挿入しづらい状況にもかかわらず無理におこなうと、性交痛や出血が生じやすくなります。

性交痛や出血を改善する方法

性交痛や出血を改善するためには、原因を究明するのが先決です。それぞれの原因に沿った6つの改善方法は以下のとおりです。

・潤滑ゼリーを使用する
・処女膜切開術を受ける
・各疾患の治療をする
・ホルモン補充療法を受ける
・レーザー治療を受ける
・定期的に検診を受ける

それぞれ詳しく解説します。

潤滑ゼリーを使用する

膣内のうるおい不足により、挿入時に痛む場合には、潤滑ゼリーの使用がおすすめです。潤滑ゼリーの主な成分は純水であるため、安心して使用できます。
適量のゼリーを指に取り、そのまま膣付近に塗布するか、コンドームの先端に付けて使用します。膣乾燥による性交痛や出血を手軽に改善できるのが特徴です。
当院では、リューブゼリーという潤滑ゼリーをおすすめしています。気になる方は当院までお申し付けください。

処女膜切開術を受ける

処女膜強靭症と診断された場合は、処女膜切開術が検討されます。処女膜強靭症が自然に改善するのは稀(まれ)です。処女膜切開術を受けることで、挿入時の痛みや、出血の改善が図られます。
当院では局所麻酔だけではなく、静脈麻酔も使用するため、手術中の痛みの心配はありません。また、術後の縫合は溶ける糸を使用しているため、経過がよければセックスを再開して構いません。

各疾患の治療をする

性感染症や、婦人科疾患は、性交痛や出血の原因になる可能性があると紹介しました。まずは、性交痛や出血以外の症状がないかを確認しましょう。
特に以下の症状がある場合は、医療機関でカウンセリングや診察を受けるのをおすすめします。

・陰部の痒み
・陰部の炎症
・色のついたおりもの
・下腹痛
・発熱

場合によっては、服薬治療で改善する疾患もあります。セックスの際に膣の奥が傷む場合は、婦人科疾患が疑われるため、早めにカウンセリングや診察を受けましょう。

ホルモン補充療法を受ける

更年期障害などホルモンバランスの乱れにより性交痛を生じているケースでは、ホルモン補充療法がおすすめです。
ホルモン補充療法は、更年期により減少したエストロゲンを必要最低量まで補う治療方法です。膣の乾燥のほかに、更年期にみられる症状の改善も期待できます。

レーザー治療を受ける

レーザー治療は、性交痛や膣の乾燥を改善します。体にメスを入れることなく治療できるので、傷をつけたくない方におすすめです。以下の悩みがある方には、レーザー治療がおすすめです。

・膣が乾燥している
・出産により膣内部が緩んでいる
・尿漏れがある

レーザーを照射することで膣内の組織がコラーゲン繊維を造成するため、膣のうるおいアップや膣のひきしめ効果が期待できます。

定期的に検診を受ける

定期的に検診を受けるのは改善とは異なりますが、性交痛や出血の予防に効果的です。婦人科疾患や性感染症など、自分では気づけない疾患が隠れている可能性があるからです。
婦人科にかかることに抵抗がある場合は、当院のカウンセリングを活用してください。女性院長がカウンセリングから治療まで一貫して担当するため、安心してご相談いただけます。

性交痛や出血はパートナーと一緒に解決するのが重要

性交痛や出血の原因は、女性一人の問題ではありません。症状を早く治すには、パートナーの理解と協力が必須です。
性交痛があるにもかかわらず無理にセックスを続けると症状が悪化するどころか、膣炎などの疾患を引き起こす可能性があるからです。
また先述したとおり、パートナーのセックスの方法に問題があるかもしれません。性交痛や出血があることを打ち明けて理解を求め、「一緒に解決していこう」という姿勢が解決への近道です。

まとめ

セックスの際に生じる性交痛や出血を早く改善したい方は、原因を探るのが先決です。原因を究明し、その原因に沿った改善方法をおこなうことが改善への近道だからです。

当院では、患者さま一人ひとりの悩みに寄り添い、患者さまの希望に沿った治療を提供しています。WEB上または電話でのお問合せを受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

更年期で起こる性交痛には、様々な要因があります。その中でも女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量減少による膣の乾燥や膣粘膜の弱化には注意が必要です。

膣の乾燥や膣粘膜の弱化は性交痛の原因となり、放置しておくと萎縮性膣炎という疾患を引き起こす可能性もあります。更年期の性交痛を改善するには、いくつか方法があるため、自分自身に合った方法を試してみましょう。